ボディの鳴りについて

2010/05/06 Thu 17:36

 エレキギターのボディ鳴りの重要性については何度もこのブログに書いていますように、ほとんど無視してよいと考えています。その理由は以前にも書きましたように、試しにナイロン弦を張ってみると全くアンプから音が出ないことからわかるように、ピックアップはボディの音は全く拾っていないのです。

 じゃあ何が弦のトーンに影響しているかと言えば、私の考えではフレット、ナット、ブリッジなどの弦が直接接していて弦振動を支えている部分の材質や強さが影響していると思います。つまりボディ鳴りをピックアップが拾っているのではなく、弦の振動の減衰がボディ材質によって異なるのであたかもボディ鳴りをピックアップが拾っているように多くの人が誤解しているのだと思います。

 例えばコンクリートの床にフレットとブリッジを設置してそこに弦を張り、ピックアップも床に埋めて音をアンプで鳴らしたとしましょう。きっとあまりに床が強固で弦振動の影響を受けたりしないのでサスティーンは凄いでしょう。でもその際にボディ鳴り(床鳴り?)はするでしょうか?きっとコンクリート床の上に弦を張っても床が弦と共鳴して弦の音を増幅させるようなことはないでしょうね。つまりこの場合にはほとんど完全な弦鳴り状態だといっていいでしょう。

 一方でフルアコのエレキと比較してみます。フルアコのエレキは生鳴りは共鳴胴があることもあってソリッドボディとは比較にならないほど鳴ります。しかしアンプを通して鳴らすとどうでしょう?きっとソリッドボディのギターよりもサスティンは悪いですよね。でもそれがフルアコ独特のサウンドになっているとも言えます。

 さてこの二つを比較するとどういうことが言えるでしょうか?ボディ鳴りの悪いコンクリート床ギターの方がサスティンは良い。ボディ鳴りの良いフルアコの方がサスティンは悪い。言い換えればボディが弦の振動を吸収するか否かがサスティンに影響を与えていると言えないでしょうか?

 考えてみればバイオリンでもフォークギターでも、生楽器は元の音を鳴らした弦の振動をボディに伝えて共振させて大きな音を鳴らすわけですね。ということは弦の振動のエネルギーはボディに伝わった時点で弱くなるはずなのです。つまりボディ鳴りが良ければよいほど弦の振動は早く減衰するのですね。

 しかしエレキギターではピックアップは弦の音しか拾いませんから、こうしたボディ材の違いは弦の振動時間の長短に影響を与えます。つまりボディ材が変われば弦が振動している土台が変わるので、サスティンに影響があるのです。あたかもそれがボディの鳴りを拾っているように感じるのですが、実際にはボディの鳴りは弦のトーンには影響を与えませんし、ピックアップからも音に変換されていません。

 ボディ鳴りがエレキギターのサウンドに影響を与えているように感じる錯覚はこれが原因だと私は思います。そういう意味で考えればフロイドローズのギターのサスティンが長いのは当然なのですね。だって金属製のナットとブリッジで完全に弦をロックしてしまっているわけですから、コンクリート床に弦を張った状態と同じように最も弦振動を効率よく残す仕組みになっているからです。

 逆にボディ鳴りが良いエレキギターというものは、アンプで鳴らすのであればサスティンは悪くなることになります。なぜならそれだけ弦の振動がボディに吸収され共鳴されてしまっているからです。確かに生でエレキギターを弾くのであればボディ鳴りが良いものは気持ちよいでしょう。しかしそれはアコースティックギターを弾いているのと同じ気持ちよさであるだけで、実際にアンプから出てくる音はサスティンが短くなっているはずです。

 もちろんサスティンの長さは好き好きですから、長けりゃイイと言うものではありません。みんながフロイドローズのサウンドを好きでないのは不自然なまでにサスティンが長いからでしょう。

 そう考えてみれば、やはりボディ鳴りなどはエレキギターにとって見ればたいした意味があるものではなく、サスティンに影響を与える話に過ぎないのではないかと思います。それよりもエレキギターのトーンを決定しているものは、弦の材質、太さや、テンションやスケール長、フィンガリングやピッキングのタッチ、そして当然ながらナット、フレットとブリッジの素材や重量だと思います。土台(ボディ)はこれらを支えている役割があるだけであって、その材質の違いはトーンを変えるのではなくサスティンに影響があるだけだと思います。

 それと当然ながらピックアップとアンプがこれに加えて決定的にサウンドに影響を与えますので、エレキギターという楽器の「サウンド」を追求するのであれば、結局のところ「弦周り」部分とピックアップ、そしてアンプがミソとなってくると言えると思います。ボディ鳴りは全く影響しないというのがやはり結論です。

関連記事
エレキギター