弦高の話、再び。

2017/06/08 Thu 14:42

ギターの弦高は少しだけ高くしたほうがチョーキングやビブラートはやりやすいですよ、と以前に書いたことがあるのですが、その後もいろんな情報を見ていましたら、意に反してと言いますか、当然といいますか、「弦高は低いほうが弾きやすいからいいに決まってる!」的な意見を多く見かけたものですから、再考察を。

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いや、以前にも書きましたけれども、弦高は低いほうが弾きやすいですよ、そりゃ誰がどう考えても。特にハンマリングやプリングを使ってピロピロ~と弾くのであれば弦高は低いほうがラクに弾けます。でもチョーキングやビブラートをするときにあまりに弦高が低いと隣の弦が指に当たって邪魔でやりにくいと感じられることが多いんです。

で、プロのギタリストの意見などもネットで読んでいたのですが、まあ、やはりだいたいは「弦高は低い方がよい」という意見でしたね。でも、ここで大事なのは「なにをもって『弦高が低い』と言うか」という話だと思うんですよね。

だってある人にとっては「低い」と思っている弦高が別の人にとっては「高い」と思われることもあるし、もちろんその逆もあるからです。でも、ユーチューブでいろんなビデオを見ていて「この人ギター上手いなぁ」と思うプロの演奏を見ていまして、やはり「上手い人は結構弦高は高い」ということを確信しました。

と、いうより、「少なくともベタベタに低く弦をセットしてない」ということは間違いないと思いましたね。それはどんなところから気がついたかといえば、彼らがスライドプレイをするときに強く感じたわけです。

ギターを弾いているアマチュアの方の中にはスライドなんてやったことがない、と思う方も多いと思うのですが、割とプロのギタリストはスライドを行うことが多いです。それはロックでもフュージョンでも。で、スライドをプレイしたことがある方ならおわかりだと思うんですが、ベタベタに低い弦高ではスライドってできないんですよね、スライドバーがフレットに当たっちゃうので。

だからスライドプレイを普通に使うギタリストはスライドバーを使ってもフレットに当たらない程度の弦高にはしているはずなのです。で、そうやってスライドプレイが問題なくできる程度の弦高にしてみますと、割と「低くない」ということがおわかりになると思います。

スライドをいつも使うギターに使ってプレイしているギタリストは、私が知っているところではリッチー・ブラックモア、ブライアン・メイ、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジ、ジョー・ウォルシュ、デュアン・オールマン、高中正義、名前はわかりませんがスレイドのギタリスト、などなど、他にも探せばきっとたくさんいると思います。

リッチーは昔のインタビューで「弦高は高めにしている。そのほうが音に気取りが出る。ジャズのギタリストはみんな弦高が高いから音に気取りがある」と言っていましたので、彼は高いのだと思います。先ほど名前を挙げたギタリストたちも、少なくともスライドプレイができる程度には弦高を上げているわけですが、逆に言うと、彼らも普段からスライドプレイができる程度の弦高でプレイしているからわざわざギターを持ち替えなくてもスライドプレイができるんですよね。

で、話を戻しますが、そうやってスライドプレイをしているギタリストたちが自分のギターの弦高を「高い」というのか「低い」というのか、という話なんだと思うんです。もしスライドプレイを行うギタリストが自分の弦高を「低い」というのなら、そのギタリストの感覚では「低い」と思っている弦高も、実はかなり「高い」ということになります(笑)。

だからただ単に弦高が「高い」「低い」と感覚的に言うことにはあまり意味がないと思うんですよね。ですが、スライドプレイが問題なくできるかどうか、というのは絶対的な基準になると思うんです。で、先ほど名前を挙げたギタリストたちは、少なくともスライドバーがフレットに当たらない程度には弦高は上げてプレイしています。で、彼らはだいたいギターの名手ですよね、ジミー・ペイジは個人的に微妙ではありますが(笑)。

そう考えますと、プロでギターが上手い人たちはスライドプレイができるくらいに弦高は上げている、逆に言えば、スライドプレイができるくらいの弦高でも彼らは問題なくベストなプレイができる、ということです。もし弦高の高さで少し悩んでおられたりするのであれば、一度スライドバーを使ってもフレットに当たらない程度の高さに弦高を上げてみてその高さを実感してみてください。

上手い人たちは少なくともそのくらいの高さでギターを弾いている、ということです。もちろん上手い人の中にもベタベタに低くセットしている人もいるでしょう。そのあたりはご自分がどんなプレイスタイルを目指しているのか、ということにも左右されるとは思いますが、私はチョーキングやビブラートを重視するので割と昔ながらのロックギタリストのプレイを参考にすることが多いです。だからスライドができる程度に弦高は少し高めになっていると思います。

面白いのですが、プレイスタイルやサウンドから判断するにエディ・ヴァン・ヘイレンは若い頃は弦高がかなり高めにセットしていたと思うのですが、自分では「低い」と思っているのだそう(笑)。エディの弦高には諸説あって、「高い」という人もいれば「低い」という人もいます。

エディ本人は「低い」と言っているそうなのですが、私が思うに、それは最近の彼の好みなのではないかと思うんですよね。ピックアップやアンプも含めて、彼の好みや発言はかなり正反対にブレますからね(笑)。私は彼の大ファンですが、それでも二十数年前までの昔のエディのプレイやトーンは大好きですがそれ以降のトーンは正直言って好きなトーンではありません。最近のトーンなどは昔のサウンドが好きなファンからすれば「一体どうしちゃったの?」と思うくらいヒドイ音に思えるのではないでしょうか。

そのエディは、ステージでは絶対にスライドプレイをしません。レコードではスライドでプレイしているフレーズも、ステージではスライドバーを使わずに弾きます。もしかすると、レコーディングではスライドプレイをするときには弦高を上げたギターを使ってプレイして普段のステージでは比較的弦高を低くセットしたギターを弾いているので、スライドプレイができないのかも知れません。ま、そのあたりは単なる推測で、ただ単にエディがステージでスライドプレイをしたくないからだけかも知れませんが(笑)。

演奏する音楽のジャンルにもよるかも知れませんし、プレイスタイルにも左右されると思いますが、個人的にはスライドプレイができる程度の弦高がロックをプレイするのには最も適しているし、弾きやすいと思っています。弦高で悩んでおられる方がおられたら、スライドができるかどうかを一つの目安にしてみてはどうでしょうか?

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