最近の私のギター練習の大きな部分がピッキングの練習に使われているわけですが、私はギターを始めた当初からただひたすらに真面目にオルタネートピッキングを練習してきました。それはギターを始めた当初ファンだったリッチー・ブラックモアの影響が少なからずあったわけですが、お陰で多少の複雑なフレーズもオルタネートで弾くことができるようにはなりました。

でも、やっぱり速いフレーズなどを弾こうとすると、どうしてもピックが弦に当たるノイズが入ったり、スピードに限度があったりして、自分自身のオルタネートピッキングの限界を感じていました。

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そして私がギターを始めてウン十年オルタネイトピッキングにこだわり続けた禁を破って(笑)採用することにしたのが、いわゆるスピードピッキングとかエコノミーピッキングと呼ばれるもの。



これはフランク・ギャンバレの昔々の教則ビデオですが、今更ながらこのビデオを見ながらスピードピッキングにチャレンジすることにしました。スウィープピッキングは既に習得しているので(あまり使いませんが)、そちらは今回は参考にしませんでした。彼がこのビデオで解説している「1弦ごとに3音弾きながら弦を移動させるピッキング方法」については、他の人のビデオなどで見たことはありましたが実際に練習したことはありませんでした。

ちなみに、私はこのフランク・ギャンバレというギタリストはこのビデオを見るまで知りませんでした(笑)。ビデオを見てますと古いジャクソンのギターを弾いているので、この時代ならばこの人の名前くらい知っててもよさそうなのに、まったく知らないということはきっと音楽のジャンル的に興味がなかったのでしょうね。

でも、この人、めちゃギター上手です(当然ですが)。そしてフレージングもジャズとブルースが混ざった感じでとてもいいです。そしてトーンも好きなサウンド。最近の彼はもっとジャズ寄りの演奏が多いみたいで、フルアコでクリーントーン、といったサウンドで弾いているビデオが多いですね。

で、このピッキングの練習を始めて、そうですね、まだ一週間は経ってないと思います。でもだいぶ慣れてきました。今でも精度は低いですが、今までに弾けたことがないスピードで1弦3音ずつのフレーズを弾くことができますね。たぶんいま普通にオルタネートピッキングができる人なら、10日頑張って練習すれば出来るようになるでしょうね。そして1ヶ月あればまったく問題ないレベルでこのスピードピッキングを使えるようになっているでしょう。私がそれを実証します(笑)。

いや、とにかくこのスピードピッキング、初心者の方は最初からこれを練習することをオススメしますね。確かにオルタネイトピッキングは基本中の基本ですが、ものごとなんでもそうですが、基本だからといってそれだけを盲目的に頑なにやり通すことだけが「正解」とはいえません。逆にものごとなんでも上手にやるための「コツ」とか「テクニック」というのはあるもので、それを採用したほうが遥かに上達が早く、そしてギターに関して言えば表現力が増すことってあるものです。

革新的なギター奏法、なんてものも大体はそれまでの常識から大きくはずれた演奏法をする人がもたらすことが多く、そしてそれがあまりに画期的・合理的なものなのでその後一般的になった、というものが多いですからね。ただ、そういった革新的テクニックもあまりに習得するのが難しいとやはりただの「職人芸」の域を出ることがなく、結局は世に広まらないで終わってしまうことも少なくありません。

そういったものの例としては、スタンリー・ジョーダンの両手タッピングとか同じようにナイトレンジャーにいたジェフ・ワトソンとかのワザがあるでしょうかね。



うますぎてこんなこと誰にも真似できません・・(笑)。



ジェフ・ワトソンはこちら。1983年の日本ツアーでのビデオ、ということになっていますが、日本ではこんなに観客がギターソロで盛り上がることはありえません(笑)。なので歓声をあとの編集で加えたのか、日本以外のライブか、どちらかでしょうね。それはともかく、このボスハンズ奏法(両手奏法)もマスターするのに意外と時間がかかる割に、マスターしても使える場面が少ないのか、ジェフ以外にやっている人を見ることは殆どなかったですね・・。

ただ、今回のスピードピッキングはそんな難しいものではありません。普通にギターが弾ける人ならそれほど時間をかけずにマスターできる程度のテクニック。レベル的には普通のライトハンド奏法(いわゆる三連トリル)程度のもの。ギターを始めてそれほど時間が経っていない人でも1週間もあればマスターできるようなものです。

もし、このスピードピッキングのテクニックを初心者のうちからマスターしておけば、どれほどピッキングに関する苦労が軽減されるでしょう。この奏法を「先生」と呼ばれる人たちが生徒に教えようとしないのは、ただ単に自分ができないから、あるいは自分が最初に習った内容と違うから教えようとしないだけだと思います。

そう、それはドラムの世界でいまだにレギュラーグリップがベストで、レギュラーグリップをマスターできてこそドラマーとして一人前だと思っている「先生」が多いのと同じこと。そしてオープンハンドなどやったこともない人が「先生」としてドラムを教えているから、その人から教わった生徒は誰もオープンハンドで演奏しないのと一緒。オープンハンドのほうが左手が強化されるし、からだも歪まないし、両手が自由に使えるので、こんな合理的な奏法はないのにねぇ。

でもね、いいか悪いかは自分でやってみればいいんですよ。少なくともスピードピッキングをマスターしてソンをすることは一つもありません。ドラムだって、マッチドグリップやオープンハンドドラミングをマスターしてソンをすることなど何一つないのと一緒。できればそのほうがよりギターやドラムがラクに表現力豊かに演奏できて良いことづくしなのに。

この間見に行ったジャーニーのライブでは、ドラマーのスティーブ・スミスはほとんどのフレーズをオープンハンドで叩いていました。彼も昔はクローズドでしたが、最近は逆に手をクロスさせてハイハットを叩いていることのほうが珍しいくらいオープンで演奏しています。あんな名手だって自分が学んだ演奏スタイルにこだわらず、よりよい演奏スタイルを追求しているのに、我々アマチュアレベルの人間が「これが誰それが『正解』と言っていた奏法だから」とある一つのことに固執してより良いものを求めようとしないのはまったくナンセンスだと思います。

そう、ギターに関して言えば、スピードピッキングやスイープピッキング、大いによいと思いますね。完全オルタネートで複数弦に渡ったフレーズを正確にミスなく弾くほうがよほど難しいです。少なくとも私は何十年ギターを弾いて練習していますが、結局マスターできませんでした(笑)。きっとこのまま死ぬまで練習をしても、やはり私はアル・ディ・メオラのように弾くことはムリでしょう。

アル・ディ・メオラの教則ビデオによれば、彼はどんなフレーズもオルタネートで弾くらしく、スピードピッキングやスウィープピッキングにはとても否定的ですが、その彼でも3弦に渡る3連アルペジオフレーズはピッキングを「ダウン、ダウン、アップ」で弾くのだとか。おいおい、あれほど「なんでも絶対にオルタネート!」と言ってた人がそこだけ変えるのはおかしくないかぁ??(笑)

いや、結局のところあれほど「オルタネート絶対!」というアル・ディ・メオラですら、フレーズによってはラクなピッキングを使い分けてるんですよ。だったら我々がアル・ディ・メオラのようなフレーズをよりラクに弾くためにスピードピッキングをマスターしたって何ひとつアル・ディ・メオラから文句を言われる筋合いなんてないと思いますね(笑)。そういう「自分の考えだけに固執した先生」みたいな人がいるから、その先生から教えられた人たちは上達できなくなったりするんですよ。

みんな手の大きさも、形も、指の長さも、筋肉の付き方も違うんです。ある人にとってベストな方法も、別の人には絶対にできないムリなことって世の中にはたくさんあるんです。だから自分にとってより合理的な方法を探して見つける必要があるんです。

そう、スピードピッキングをマスターすれば、アル・ディ・メオラレベルの高速フレーズをフルピッキングすることだって、それほど修業が必要なことじゃないんです。少なくとも私は数十年修行してもアル・ディ・メオラスタイルのピッキングはマスターできなかったので、スピードピッキングをマスターすることにエネルギーを注ぎたいですね(笑)。

初心者なら、なおさら最初からスピードピッキングをマスターすることをオススメしたいですね。昔ながらの堅物な頭を持った人に言わせれば「そんな、すべての基本であるオルタネートをマスターしないでいきなりスピードピッキングをマスターするなんて絶対ダメ!」というところでしょうが、そんなの無視無視(笑)。

最初からマッチドグリップとオープンハンドでドラムを練習するほうがその後の表現力が豊かになることが間違いないのと一緒で、ギターだってより豊かに表現できるテクニックを最初からマスターしたほうが絶対いいです。以前に「最初からフロイド付きのギターを買うのはダメ。最初はまずオーソドックスなストラトで」という意見を私が真っ向否定したのと一緒です。別に最初から弾きやすいフロイド付きのギターを買えばいいんですよ。

なんで最初に「オーソドックスな」ギターを買って練習しなきゃいけないのか意味がわからないです。自分がフロイド付きのギターを弾くことが目標なら、最初からフロイド付きのギターを買って練習すればいいんですよ。なんでわざわざまわりくどい方法で遠回りをして「修行」する必要があるのでしょうか??

日本人って、本当に「精神修行」「苦行」「苦労」みたいなのが好きな人種ですよね(笑)。なんか「道」を見つけるというか、一つの小むづかしいものを極めようとするというか、そういうことをしている修行僧のような人たちが好きですよね。でもアメリカ人ならそんな回りくどくてめんどくさいこと絶対しないでしょう。

彼らが革新的な奏法を編み出せるのは、「合理的」に上手になろうとするからですよ。なぜ楽器を上手に演奏することにそんな回り道をすることがあるのでしょうか?回り道をして得られる高みがあるのなら私も回り道を否定しませんが、回り道をしたってそれが無駄な努力に終わるだけなら回り道なんかしないほうがいいに決まってます(笑)。

私達も、いくつになっても合理的に上手に弾けるように努力すれば、もっと上手に弾けるようになれるんじゃないでしょうか。・・と思いながら私はスピードピッキングを一生懸命練習しています(笑)。まあ、楽器に関してはうまくなりたいと思う気持ちを持って、日々練習するしかないですよね。それが一番大事です。

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