右手のピッキングの練習を一生懸命行っていることは前回のブログに書いたとおりですが、練習している目的は「楽に、速く、いい音を鳴らせるピッキングをマスターしたい」というところにあります。いくら速く弾けても右手に力を目一杯入れて右手が疲れ切ってしまうようではダメです。

そういう意味で一つの目標にしているのがイングヴェイのようにいかにも楽そうに力を入れていないのに速く正確にピッキングできることですね。

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イングヴェイのテクニックについては、ビデオで本人が解説しているものをはじめとして、様々なビデオによる解説や実演が世に出回っています。ですのですでに身につけている方もたくさんおられると思うのですが、私はなかなかこれができなかったんですよねぇ(笑)。

でも昨日ピッキングの練習をしているときにようやく「ああ、こういうことか!」というところがわかりました。まず、今までできなかった理由はイングヴェイのピッキングテクニックが「普通のピッキングテクニックを鍛え上げればああいったスタイルに洗練される」と思っていたからなんですね。

それが大きな間違いだったんです。イングヴェイのピッキングテクニックは普通にピックを持って弦をはじいていることをいくら練習したって絶対に習得できないんです。彼のピッキングは普通のピッキングテクニックとは根本的に全く違うものなのです。

普通のピッキングは手に持ったピックで弦を「払って」弾いていると思います。それはコードをジャラーンと鳴らすときも、そして単弦を弾くときも同じように弾いていると思います。そしてダウンで弦をはじいた後のアップピッキングも同じように弦を「払う」ようにピックで弾いていると思います。

それが普通に教えてもらってみんながやっているピッキングです。ほとんどの人はこうやってギターを弾いていると思います。でもイングヴェイのピッキングテクニックは違うんです、全然。

どのようにやっているかと言えば、彼のスタイルのピッキングでは弦を「払う」のではなくて、まず「押す」のです(ダウン→アップのピッキングの場合)。そう、まるでピックを親指で押さえながら弦を押し下げるような感じに力を加えるのです。そうやって弦をピックで押しますと、当然ですがやがてピックが弦をはじいて結果的に弦を「鳴らすこと」になります。

そしてアップピッキングは、押しながらダウンピッキングで弦をはじいた後、人差し指の反発力のようなものを使って親指とピックをダウンピッキングを始める前の位置に戻すような感覚で動かす過程で結果的に弦を「鳴らす」のです。そうやってダウンとアップを繰り返しますと、イングヴェイのように非常に小さな動きで速いピッキングを行うことができるようになるのです。

やっている作業が親指で(もちろんほんの少しは手首の動きも使いますが)弦を下に押し下げて弾いているだけですから、どんなに速く弾いても手首をガーッと動かすようなことは必要ありません。この一連の動きを理解できるまでは、彼のピッキングは普通のピッキングの動きを小さくして力を入れずに軽く行っているものなのだろうと思っていましたが、全然違うんですよね。

実は力の入れ具合に関しては逆なんですよね。弦を押さえつけるようにしてはじくわけですから、実はこのピッキングテクニックでは結構強く弦を弾くことになります。その勢いでアップも返ってきますので、アップピッキングも結構強い音が鳴ります。そう、このピッキングテクニックを使いますと、動きはとても小さいのですが、かなり力がこもったピッキングなので音は大きいんですよね。

でも指先の動きだけでピッキングしているのでその往復運動の幅はものすごく狭いのです。普通に弦を払って弾くようにしているピッキングのように可動範囲が数センチに及ぶような必要がありません。実際にやってみますとせいぜい1センチくらいの動き、もっと慣れてくれば数ミリの動きでできるようになるでしょうね。だからどんなに速いピッキングを行ってもまるで止まっているのではないかと思うような動きしかしていないように見えるわけです。

いやー、ようやくイングヴェイのピッキングテクニックのからくりが理解できたような気がしますね。もちろんまだまだマスターできていませんので彼のように神のようなことはできませんが、それでもすこし方法がわかりました。ネットなどでは親指をこねるようにしてピックを回すようにして弾く、とかいろいろ解説がしてあるんですけど、そういう動きは「結果的に」そうなっているだけで、大切なのは「弦をピックで押して鳴らす」ことなんですよね。それをやらなかったらいくら親指を器用に動かしてピックを動かせても彼のピッキングをマスターすることはムリです、そもそも基本を理解していないので。

そう、ネットのいろんなテクニック解説などを見ていても思うんですけど、基本とか考え方を説明しないで結果的なテクニックを解説だけするから結局全くそのテクニックの内容がわからないんですよね。このイングヴェイのピッキングでもそうですが、ほかにも例えばドラムテクニックでバスドラの連打をするときに「足首を回して踏む」とか「ペダルの上を滑らせるように踏む」とかいったものがありますが、あれにしても映像で見るとそうやっているように見えますが、やってる本人はそんなことやってるつもりなんかないんですよね(笑)。

そう、やってる本人はただ単に「バスドラムを速く連打しようとしてペダルを踏んでいるだけ」なんですよね(笑)。だから自分自身の意識の中ではペダルを普通に速く踏んでいるだけであって、足首をこねるように回しているとか、ペダルの上で足が滑っている、とかそんなことは全く意識してないんです。意識しているのは「ペダルを速く踏む」ということだけなんです。

だからそういうテクニック解説を見ていると、くだらないテクニックだけが身についちゃうんですよね(笑)。そうじゃないんですよね、大切なのはドラムでもギターでも「速いフレーズをいかにしてよい音で鳴らすことができるか?」ということだけなんですよね。それを練習しているうちに、ドラマーの中には足首をこねるように回したり、ペダルの上で足を滑らせるような人が出てきて、そしてギタリストの中には全く動いていないようにすら見えるエコノミーピッキングを会得したりする人がいるだけのことなんです。

だから理屈がわかってないと映像だけ見たり、他人がフォームだけを解説している様子を見たって絶対にイングヴェイのピッキングテクニックはマスターできないです。まず最大のポイントは「普通のピッキングとは全く違う」ことと「弦をピックと親指で押し下げて弾く」ことです。その二点を理解して練習すればイングヴェイのピッキングテクニックも理解できるし、マスターが近くなるはずです。

そう、ただ単に軽く弦を弾いているわけじゃないんです。むしろ普通に弾くときよりも力を入れて弾いているんです。でもこのフォームでギターを弾けば、力を入れても小さな動きに収まり、そして速く動かすことが可能になるんです。これは普通のピッキングテクニックとは考え方も動きも全く違うものですから、別物のピッキングテクニックとして捉えて練習すべきです。

だから、演奏した音楽のジャンルやフレーズによってはこのピッキングが使えない、あるいは使わない方がよいケースが当然あると思います。そういう場合には別にこのピッキングテクニックに固執しないで、その場面場面に応じて適切なピッキングテクニックを使い分ければよいと思います。

プロで鬼のようなフルピッキングで弦を鳴らす人でもイングヴェイのピッキングテクニックと全く違う人もたくさんいます。だからイングヴェイのピッキングテクニックだけが正解ではないし、それ以外の弾き方でも速いフレーズをよい音で弾くことは可能だと思います。でも、イングヴェイのピッキングテクニックも一つのテクニックとしてマスターしておくことも損はないことではないかと思いますね。

いやいや、それにしてもなかなか面白いテクニックですね。このテクニックを最初に思いついた人はノーベル賞ものですよ、すごいです(笑)。

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