最近研究のためにユーチューブなどの動画でいろんなギタリストの方が演奏しているモノを見ているんですけれども、プロはもちろん、アマチュアの方でも最近はメチャクチャうまい方が多いですよね!やはりそれは、私たちが若い頃にイングヴェイがデビューしたことが大きく影響していると思うんですよね。

もう今の時代になっても、やはりイングヴェイはずば抜けてすごいテクニックを持ったギタリストですから、みんなが彼の動画を見て彼の技やフレーズをコピーしようとした結果、多くのギタリストの皆さんのレベルが飛躍的に高くなったのだと思います。




今の時代はこのビデオのように演奏者本人が解説しながら自分のテクニックを説明してくれるモノが手軽に見られるようになりましたので、昔と違って自分のテクニックを上達させるための情報にたくさんあふれています。このイングヴェイのビデオをずーっと見ながら四六時中彼の真似をしようとがんばっていれば、きっとかなりの人がイングヴェイに近づけるようになってくるでしょうね。もちろん全然簡単な話ではありませんが(笑)。

このビデオを見ているとイングヴェイはいいことを言っていますね。と、いうか海外のトッププレーヤーなら同じことをほとんどの人が言いますが、「ギターの弾き方に正解はない。自分に合っていれば他の人と違っていてもそれでいい」ということです。アル・ディ・メオラとのピッキングスタイルの違いを問われて、「アル・ディ・メオラのスタイルは特殊。彼の演奏スタイルには彼のピッキングがあっていると思うけど、自分には合わない」と言っています。

面白いことにアル・ディ・メオラはアル・ディ・メオラで、彼の教則ビデオで暗にイングヴェイのピッキングスタイルを批判しています。面白いですね。どちらも速弾きギタリストとして名を馳せている人なのにお互いにお互いのスタイルを少し批判気味に離しているところが興味深いです。特にイングヴェイはデビュー当時アル・ディ・メオラのファンだと公言していましたのに、イングヴェイが有名になっていく課程でアル・ディ・メオラがイングヴェイのことを批判的に評価でもしてイングヴェイも機嫌を損ねたのでしょうね(笑)。


(全く関係ありませんが、アル・ディ・メオラがカツラかぶってるのがバレバレなのが結構笑えます)

まあ、いずれにしてもイングヴェイのテクニックは本当にすごいです。神レベルです。このビデオを見ていても、ただただ彼のテクニックに驚かされるばかりです。

でも、でも、なんです。あのう、学生の皆さんや社会人の皆さんもそうだと思いますが、こんなことってありませんか、たとえば授業の講義や研修会などで難しい話を聞いていると猛烈に眠くなる、といったことが。これ、楽器の演奏についても同じことが言えると思うんですよね。目の前であまりに超絶にうまい人が演奏を始めると、あまりにうますぎて、それがやがて自分の理解を超えたうまさになってくるととたんに眠くなってしまうんですよね(笑)。

これは演奏が退屈だから寝るんじゃないんです。逆に演奏がスゴすぎて自分の頭が理解できなくなって、その演奏について行けなくなってしまうと寝ちゃうんです。つまりあまりに難しいモノに直面すると、脳は最初は理解しようと一生懸命努力するのですが、その限界を超えると脳は突然考えることを止めて眠ってしまうんです(笑)。

私は今までギターの演奏を聴いていて眠くなったのは二度あります。それはイングヴェイ本人の演奏やそのフォロワーの演奏を聞いていたとき。そしてもう一人は超絶技巧のジャズギタリストの演奏を目の前で見ていたときです。どちらもあまりに上手すぎて、「上手い!どうやって演奏しているのだろう?」と考えているうちに脳が思考を停止してしまったのです(笑)。

そう、ですからタイトルに話を戻しますと、あまり楽器の演奏って上手くなりすぎない方がイイと思うんですよね(笑)。もちろん上手くなるのはいくらでもうまくなればよいのですが、その超絶技巧はあまりライブやレコードで出し過ぎない方がイイと思うんです。やるとしてもほんの一瞬披露する程度でイイと思うんです。一瞬披露して見ている人や聞いている人を「おおっ!」と驚かせればそれで十分だと思うんです。言うでしょう?「能ある鷹は爪を隠す」って。それは何事についても言えるんじゃないかと思うんですよね。

その超絶技巧をずーっと続けられると、見ているほうや聞いているほうは脳が思考を停止しちゃうんです。簡単に言えば「わけらかん」状態になっちゃうんです。もはや目の前で弾いている人が上手いかどうかもわからないほど脳が思考停止しちゃうんです。

でも、そうなっちゃうと損だと思うんですよね。せっかくすごいテクニックを身につけているのに、それを見ている人や聞いている人を寝かせてしまっては意味がないと思うんです(笑)。なので、人前で演奏するときは、それほど上手くなり過ぎちゃいけないと思うんです。見ている人や聞いている人の脳が付いてこれる程度の演奏のほうが見ているほうも楽しめると思うんですよね。

一時期のジャズがテクニックと奇をてらったリズムやフレーズに走りすぎてジャズがこの世から忘れ去られてしまうことになったのと一緒だと思うんです。やはり音楽(だけでなく芸術全般)は多くの人にわかる程度でなければダメじゃないかと思うんです。もちろんこれは私の個人的な意見ですけれども、そのようにお感じの方も決して少なくないのではないでしょうか?

だからギターを弾くにしても、もちろん練習は大事でどこまで上手くなってもよいですが、人前で演奏するときはその8割程度、場合によっては5割・3割程度に抑えて、なるべく多くの人に理解できるような演奏を行うことも大切なんじゃないかなぁ、と思ったりもするわけです。

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