ボディ鳴りを疑う理由

2011/09/14 Wed 11:43

 エレキに関するボディ鳴り云々の効果についてはまたいろいろと考えて研究していきたいと思っていますが、私自身がなぜそう強く思うようになったのか、という理由を今日ふと思い出したので備忘録がてらに書いておこうと思います。

 それはだいぶ昔だったと思いますけど(たぶん二十数年前或いはそれ以上前)に、ギター雑誌だったか何かで確か「ストラト特集」みたいなのをしていたわけです。で、その記事の中に「ストラトのボディの形は実に音響上素晴らしい形をしている」という内容があったわけです。

 その記事はストラトのボディの詳細な寸法、曲線部分のアールまで書いてあって、「この絶妙に音の伝達を計算し尽くされたボディ設計によってストラトの素晴らしい鳴りが生まれる。実に素晴らしくて深いデザインだ!」などと書かれていたわけです。

 私もその頃はボディ鳴り云々なんてことをあまり考えてもいなかったものですから「ふーん、そんなもんか。こんな木を切って削っただけのボディなのに、弦の振動の良し悪しまで考えて形を詳細に設計しているのか。凄いもんだな。」とその本を読んでいたときは思ったものです。

 しかしその後冷静になって考えるとこの本の説明を根底から覆すギターがあることに気がつくわけです。「じゃあ、ギブソンのフライングVやエクスプローラー、ファイヤーバードなどはどうなのさ?」と。

 昔からフルアコの名機を作ってきたギブソンが木の板をVやXの形に切ったボディにネックとピックアップをつけて販売しているのはどういうことだ、と。あのVやXの木の形が音響的に計算されたものであるというのか?いや、それはどう考えてもありえないだろう、と。

 結局私が得た結論は「そんな、ソリッドボディのエレキギターにボディ鳴りを深く考慮した形もクソもあるかいな。そんなものカンケーねぇとメーカー自身がよく分かってるからあのギブソンだって合板みたいに板を貼り合わせた木のカタマリを適当な形に切り刻んでボディ作ってるんだろ?」と言うことになったわけです。

 もちろんフライングVやエクスプローラーを「ギターとしてはクソ」と世間で認識されているのであれば話は別です。でもプロも含めて結構こういったギターを使う人も多いですよね?じゃあ結局エレキギターのボディに鳴りとか、音響的な響きを求めても意味ないんじゃないか、って気がするのです。

 まあエレキギターのボディ鳴りがそれほど出音に影響することはない、と思うに至った元々の理由はこれですね。それにたまたま昨日有名な日本のぼったくりピックアップメーカーの宣伝や動画を面白半分に見ていて思ったんですが、「ピックアップを変えれば驚愕のサウンドに!何十年も待つことなくあなたのギターがヴィンテージギターに!」なんて書いているんですよね(笑)。

 それもそのピックアップをつけた新品のギターを楽器屋も共謀して売ってまして(笑)、ピックアップ単体の値段から考えると信じられない安値で売られているんです。その価格設定にものすごい疑問を感じるのですが、その安いギターについても「驚愕のヴィンテージサウンド!」なのだそう。

 で、ふと冷静に考えてみるわけです。「じゃあ何か、このピックアップメーカーは、ギターなんか適当なものでイイからピックアップさえ良いものをつければ素晴らしいヴィンテージサウンドがするって言いたいわけだな?じゃあエレキのボディ鳴りなんて全然カンケーねぇよ、とこのピックアップメーカー自身が言ってるようなもんじゃん。」と気がついたわけです。

 墓穴を掘ると言いましょうか、なんと言いましょうか、自分が作ったピックアップの素晴らしさをありえないほどに誇張している過程で、「エレキギターではボディ鳴りもクソも関係ない。大切なのはピックアップ。だからうちの素晴らしいピックアップを買え!」という話にいつの間にかなっちゃってるわけです(笑)。

 どうです、エレキギターに関するメーカーやショップの話って矛盾してるって思いませんか?(笑)。今までさんざん「ボディ鳴りがどうの」「木が良いんでいい音するんですよ」「塗装と経年変化がねぇ」などとご託を並べていた楽器屋の店員が、ぼったくりピックアップメーカーと結託したとたんに安いギターにそこのピックアップをひっつけて「これは世界最高のピックアップがついてるから最高のギターです。」と客に熱心に売りつけるわけです。おかしいだろ、それは(笑)。

 まあそのあたりの商売をしている側がやっていることを冷静に見ていますと、「やっぱりエレキギターにボディ鳴りは大してカンケーねぇってことでしょ。店もメーカーもよく分かってるじゃない。結局ピックアップやアンプのほうがずっと音には影響するんでしょ?」と思っちゃったわけです。

 ・・・というお話しです。これらのお話しについてどうお感じになるかは人それぞれでしょうけど、昔フライングVを見て、そしていま某ピックアップメーカーのありえないほど自らを神格化させようとする宣伝とそれに乗じて一儲けしようとしているお店の姿を見ていて、私はやっぱりそうなのかなとつい思ってしまうんですよね。

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