今までいくつかのピックアップをテストしてきてそれぞれの特徴のようなものを掴めるようになったので、原点に戻って私のギターに30年近く取り付けていたギブソン、オリジナルハムバッカー、通称Tバッカー(或いはT-Top)の音をチェックすることにします。

 私のTバッカーは1979年製ですが、今回はマグネットを元々ついていたものではなく最近手に入れたオールドPAFタイプのアルニコ5の無研磨タイプに交換しています。最近オリジナルのマグネットではどうも音が弱くなってきているような気がして、それで試しに交換することにしたわけです。

 さて久しぶりにTバッカーを取り付けて音をチェックします。いつものようにヴァン・ヘイレンの昔のフレーズをいくつか弾いてテストしてみます。ピックアップそのものはこんな感じ。

T-Top

T-Top

T-Top

 長年使い込まれたものだけが持っている風格がありますね。好きです、この雰囲気、佇まい。完全に骨董品を見ている気分です(笑)。

T-Top

 交換したマグネットはこんな感じですね。オールドPAFタイプなのでオリジナルのものより少しサイズが大きいです。



 その音を録音して聞いてみますと、まず自分でも「アレッ」と思いました。なぜかといえば、音になんの特徴もない(笑)。マグネットを新品に替えたせいか音はパワフルになった気がします。でも以前に取り付けていたときと音のキャラクターはそんなに変わっていないように思います。

 今ではヴィンテージピックアップと呼ばれることが多いこのピックアップですが、オリジナルPAFの流れを汲む最後の世代のピックアップであることもあって一部ではこのピックアップを「PAF」と呼ぶ人もいるみたいです。

 そのため私は長い間ヴィンテージピックアップというものはPAFも含めてこのTバッカーのようなトーンだと思っていました。音を聴いていただいてわかるように、結構マイルドな音なんですよね、このピックアップは。(ユーチューブのサウンドでは結構トレブルもあるように聞こえますが・・)

 なのでダンカンの59をテストしたときとてもビックリしたんです、想像以上にブライトな音だったので。「あれ俺が持ってるTバッカーと全然音違うやん。」という感じで、そのサウンドキャラクターの違いに驚きました。

 確かにTバッカーの音はあの頃(70年代後半から80年代初頭頃)のギブソンのサウンドという感じがします。まろやかでふくよか、とにかくマイルドな音で、きめの細かい綺麗な歪み方をします。そして確かにローゲインピックアップのならではのサウンドであることは間違いありません。でも逆にいえばそれだけでこれといった特徴がないとも言えます。

 ローゲインのピックアップなのでボリュームを絞るとすぐクリーンサウンドになり、このあたりはJBなどのハイゲインピックアップと比べると使い勝手はいいです。しかしこの無個性さはなんでしょうか(笑)。きっとマグネットをオリジナルのものに戻しても基本的にサウンドキャラクターは変わらないと思います。

 そう考えるとコイル(ボビン)の巻き方で音って変わるんですねぇ。正直いって59とTバッカーがこんなに音が違うなんて想像もしていませんでした。もし59がオリジナルPAFに近い音だとすると、Tバッカーを「PAF」の仲間としてひとまとめにするのは間違ってますね。

 もちろんPAF自体の音が個体によってバラバラらしいので、もしかするとギブソンが本来意図していた音は実はこのTバッカーみたいな音で、だからTバッカーがこんな音なのかも知れません。それはわかりませんが、少なくとも59とは全然音が違いますし、私は59のほうが突き抜けるようにブライトで色っぽいサウンドなので好きです。

 なんかどちらかというとTone Zoneで体験したディマジオのピックアップみたいな音。絞り出したような音やバイト感というのでしょうか、色っぽいピッキングのサウンドやタッチのニュアンスがほとんどしません。ただ「弦の音をストレートにそのまま出力しています」という感じの音。だから個性がないのです。

 59と比べるとトレブルが弱い代わりにミッドからローにかけて少し太い音になっています。そのため低音弦を弾くと59よりもずっと芯があってパワーのある音になりますが、JB やTone Zoneのようなクセのあるトーンはなく、あくまで素直な音ですがパワーあります。でもこれはマグネットを替えたせいかもしれません。

 でも59の強いトレブルが好みでない方にとっては、案外このTバッカーの少し少し太めのサウンドのほうがクセがなくてお好きかも知れませんね。ユーチューブで音を聴いている限りでは意外とバランスよく鳴っているようにも聞こえますしね。確かにそのあたりは個人の好みが出るかも知れませんね。

 うーん、Tバッカーの魅力がこの程度とは思わなかったなぁ。もうちょっと59っぽい味付けがあると思ったのに、あまりに普通・・・(笑)。色っぽいタッチがほとんどないことにちょっとガッカリ。長いこと弾いてきたから愛着あったんだけどなぁ・・。もちろん悪いピックアップではないんですが。

 今どきはネットやオークションなどで「これから値上がり必至の素晴らしいヴィンテージピックアップ」なんて表現で時々見かける70年代Tバッカーですが、実際のサウンドはこんなもんですよ、皆さん(笑)。

 まあこれはコレクション、骨董品として私の手元に置いておくとして、ギターには59メインでJB、カスタムカスタムあたりを気分に合わせて取り付けてみようかなぁ。骨董品はやはり骨董品。実用品ではなくあくまでその雰囲気と佇まいを眺めて感じて楽しむのがいいのでしょう。きっと本物のオールドPAFも一緒なんでしょうね。

追記:
 なんか何度か動画を見ていると「おっ、Tバッカーも思っていたよりいい音じゃない!」と思ってしまうところが困ったもの(笑)。なんか結局耳が慣れればなんでもいい、って感じがしてきますね(笑)。ええ加減なもんです。

 耳が悪いのか、動画の音が悪いのか、どっちもか(笑)。でもこの「普通で無個性な音」が実は心地よかったりするのかも知れませんね。

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