ヴァン・ヘイレン関連のサイトやユーチューブでデイヴが復帰したバンドのリハーサル風景などが動画で配信されています。それを見ていると昔デイヴが在籍していたときよりはずいぶん演奏も歌も丁寧になったな、と感じます。

 しかし私が以前から危惧していたように、このバンドは22年前の状態でタイムトンネルに乗ってこの2007年にやってきたようなものなのです。曲は当然1984アルバムまでのものだけで、それ以降サミーと一緒にバンドが作った曲は多分ほとんど、或いは全く演奏されないはずです。となればこのバンドをサミー時代のファンが見に来るでしょうか?そりゃあ来ませんよね。じゃあ誰が来るのか?それは化石みたいに22年前の姿をとどめているバンドを見たいと思う当時の若者だけに限られちゃうんですね。

 その当時20歳だった人(つまり私とほぼ同い年)は今42歳です。そんな連中ばかりがまるで同窓会にでも参加するような感覚でコンサートに来るわけです。そう考えるとバンドも随分と大きな賭けに出たものです。最近の22年間の中心であったサミー時代のファンを全て切り捨てるつもりでツアーをしようとしているわけです。これはバンドの商業上はかなり大きなリスクをはらんでいると言わざるを得ませんね。「ホントにそんなのでイイの?」ってバンドに訊きたくなるほどの大懐メロ大会。

 案の定ツアーチケットの売れ行きは最初のステージは売り切れであるものの、それ以外のステージはほとんどが売れ残っています。もうステージまで10日もないっていうのにですよ。だからこそ一生懸命ユーチューブなどでリハーサル風景まで公開しているのでしょうね。もうツアーチケットを売るのに必死のパッチです。でも多分チケットは売れ残るでしょう、だって40歳以上がメインのターゲットだからです。そりゃいくらアメリカでも売れません。

 このままツアーが開始して、ほとんどのホールやアリーナで空席が目立つようだときっと今回のデイヴ復活劇はこのツアーだけで終了してしまうでしょうね。だって彼らは金だけが目的で再結成しているわけですからね。このツアーで金が稼げなければ、次に行われる予定だったであろうアルバムの発表や世界ツアーなどは軽くキャンセルされるでしょう。

 チケットの売れ行きやなんとなく雰囲気を読んでいると、今回のバンドの復活劇は失敗に終わりそうな気がしますね。一体どれほど多くの人たちが22年前にケンカ別れをしたバンドの、その当時のままの姿を見たいと思っているでしょうか。本当はツアーに先駆けてミニアルバムでも作って新曲を披露すべきだったのです。そうすればサミー時代のファンも見に来てくれるかも知れませんが、ステージで演奏される曲が最新でも23年前の曲だなんて、一体今の若いファンにどうしろというのでしょうか?自分が生まれる前の曲を一生懸命覚えてからコンサートに行かなきゃいけない?若いファンがそんなバカバカしいことをするわけありませんよね?だって彼らは明らかにサミーがいた頃のバンドが好きだったんですもの。

 アルバムに先駆けてツアーをするあたりに明らかに様子見をしようというバンドの狙いが透けて見えるわけです。つまり「本気でやっているわけではない」という意図がですね。このツアーで思った以上に反応があればアルバムでも作ろうか、と。でもアルバムを作っても売れないのであればとてつもなく無駄な金を注ぐことになるので、そんなリスクの高いことをする前にまず昔の曲だけでツアーをしてファンの反応を確かめよう、と。

 まあせこいんですよね、アイデアが。バンドが演奏する曲だってほとんどがデイヴがソロ時代末期に演奏していたものと同じで、まるでバンドがデイヴに乗っ取られた形であることがよく分かります。私はデイヴもヴァン・ヘイレンも大好きでしたが、正直言ってデイヴがバンドに復活するには7-8年ほど遅すぎたと思います。本気で再結成するつもりがないのがありありだし、昔演奏し慣れた曲ばかりを今再び演奏するなんて安易すぎますものね。

 このツアーがどういう結果になるのかはもちろんまだ分かりませんが、大転けして再びバンドが空中分解状態に入ってしまいそうな気がなんとなくしますね。私はかつてデイヴがいた頃のヴァン・ヘイレンの大ファンだっただけに、今回の復活劇を複雑な気持ちで眺めているのが正直な気持ちです。7-8年前ならきっとデイヴの復活を大歓迎したでしょう。しかし今では「それがどうしたの?」くらいにしか実は感じていないのです。私にとってそれほど最近の7-8年の違いは大きいのです。きっとアメリカのファンにもそういう人たちが意外と多いからチケットの売れ行きが悪いんじゃないかと思っている今日この頃です。
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