昔のエディ・ヴァン・ヘイレンがデビューした際、ストラトタイプのギターに斜めにつけたハムバッキングを1つつけたスタイルでした。

 なぜピックアップが斜めについているのかといえば、フェンダーとギブソンの弦間隔が違うので、弦間隔の狭いギブソン用のハムバッキングのポールピースが1弦と6弦の真下に来るようにするためだとか。

 Fスペースとかトレムバッカーとかができるまではどうしてもピッチの問題があったのでこのように斜めにリアのハムバッキングをセットしたギターが売られていましたし、自分でギターを改造なさる方もエディのように斜めにセットしたケースも多かったのではないでしょうか。

 エディがやっていたので彼の言葉を信じて斜めにピックアップをセットした方も多いと思いますが、エディってギタープレイの素晴らしさと裏腹に、結構インタビューの内容やギターのセッティングなどは天才というか、全然メチャクチャってことが結構多いんですよね(笑)。

 私もエディは中学生の頃にライブを見て以来の大大ファンですから彼のインタビューを読んではギブソンのピックアップを買い、オールドタイプの鉄製のシンクロトレモロを付け、トーンは回路から外し、配線は短くし、そしてセイモアダンカンを買ったものです。

 しかしよくよく考えると不合理というか、「いくらエディが言っているからといっても、ちょっとそれは違うだろ?」という部分が結構あったりするんですよね。まあ彼にしてみれば自分の発言を信じて真似する人が増えるところを楽しんでいた見ていた部分があったんじゃないかと思うんですよね。

 このブログにもよく書いていますように、ピックアップをボディに直付けする話もその1つ。これだけはさすがにエディの話と言っても私は自分のギターでやったことがありません。その理由は繰り返しこのブログに書いていますように、1つはほとんど行う効果がなく逆に悪影響があること、そしてもう一つは単純にボディ直付けよりエスカッションで取り付ける方が調整などが便利だからです。

 そして今回の話題であるピックアップを斜めにつけるのも同じ。実はこれも私は自分のギターでやったことはありません。理由はまず見た目がカッコ悪いこと(笑)。こればっかりは如何にエディがやっているからと言ってもやりたくないですねぇ(笑)。だってエディ自身、斜めにリアピックアップをつけていたのはいちばん最初のいわゆるフランケンだけ。

 2枚目のアルバム以降で使っているギターではピックアップは確か全てがトレモロユニットと平行にまっすぐついていたはず。しかも当時の写真を見るとFスペースじゃない普通のピックアップでしたから、私もその方がルックス的に好きでしたし、音的にも問題ないだろうと思って私のギターもまっすぐピックアップをセットしています。

 そしてもう一つの理由は、これが今回書きたかったことなのですが、斜めにピックアップを取り付けることは全然合理的でないこと。だって考えてみてください、ハムバッキングを斜めにセットすると確かにポールピースは1弦と6弦の真下にきますが、でもハムバッキングのもう片方のボビンのポールピースは弦から激しくずれることになります。

 だったら、本来音を2つのボビンで拾って十分なパワーが得られるようになっているのに、斜めにピックアップをつけちゃうと1つのボビンでしか拾ってないってことになっちゃうんですね。つまり1弦と6弦だけタップされたのと同じサウンドになってしまうと言うことです。

 結局斜めにつけたってパワーは半分になっちゃうのですからほとんど意味ないってことなんですよね。それにそもそも先ほども書きましたように、エディ自身フランケン以外のギターではピックアップをまっすぐつけていますので、エディだって斜めにピックアップをつける必要性はそれほどないって気がついているんです(笑)。

 私のギターでも確かに1弦と6弦は微妙にポールピースからずれた位置に来ていますが、実際のところ音を出してみますと、確かにダウンとアップのピッキングで多少音の大きさやトーンに差があるかな、という気はしますが、実際のサウンドを録音して聴いていたりしますとほとんど気になることはないんですよね。

 だってこれまた考えてみてください、例えばフロントピックアップなどを見てもらいますと、ハイフレットでチョーキングしますと弦はポールピースから全然離れちゃいます。だけども音が消えちゃうってことはないですよね?

 ポールピースの真下に弦がないと音が鳴らない、って言うのであればチョーキングすれば音が消えるはずなのに、現実にはそうならないと言うことはポールピースの真下に必ずしも弦が来なくてもピックアップは音を拾うってことなんですよね。

 どういうことかと言えば、小学校の理科で習ったようにポールピースから出ている磁界というのは、まっすぐ垂直方向に磁力が出ているんじゃなくって、それぞれの極からふわっと丸く四方八方に出ているんですよね。だから少々ポールピースから弦が外れてもきちんとポールピースからの磁界に影響を与えることができるので、問題なく弦の音を拾うことができるわけです。

 ですからフランケン以外のギターでエディ自身がやっているように、ノーマルのハムバッキングをストラトのリアにつける場合に斜めにセットする必要はありません。むしろ斜めにつけちゃうと片方のボビンのポールピースの磁界が弦から離れすぎちゃうので1弦と6弦のパワーダウンを招く恐れもあります。さっきのチョーキングの話と違って、1弦と6弦に関してはその外側にもうポールピースはありませんからね。

 でもじゃあなぜFスペースやトレムバッカーがあるのかと言えば、もちろんその方が確実に音を拾えるからです。ですからこれらの方がフェンダー系のギターにハムバッキングを取り付ける際にはより望ましいのは間違いないですが、じゃあ普通のハムバッキングだとダメかといえば、それほど神経質になる必要はないですよ、というのが結論ですね。

 実際問題としてヴィンテージピックアップなどと呼ばれるピックアップをストラトに取り付けようとすると、ポールピースから弦がどうしても外れちゃいますからこうセットするしかありませんから、仕方ないっちゅやあ仕方ないわけです。それにノーマルタイプのピックアップの方がまだまだ選べる種類が多いので、私自身はFスペースのピックアップに変えるつもりは今のところないですねぇ。

 それよりもギブソンスペースのシンクロトレモロができて欲しい。そっちの方が作るの簡単なはず。それがあれば全ての問題が簡単に解決(笑)。

関連記事
ピックアップ