ジミーペイジは下手

2011/05/18 Wed 16:54

 ツェッペリンの曲をバンドでやっている関係で、久しぶりにツェッペリンの曲を繰り返し聞いていますと、ふと「やっぱりペイジってギター下手だよな」とあらためて感じました。

 で、ついでにグーグルで「ジミーペイジ 下手」と検索すると出るわ出るわ(笑)。その中で出てきた2ちゃんねるなどのスレッドなどを読んでいると、「ジミーは下手じゃない。上手い。あのリフやバッキングは上手くなきゃできない。」とか「今どきのハイテクギタリストと比べるのは可哀想」「当時は上手い部類だった」といった意見もあり興味をそそられましたね。

 私なりの感想としては、確かに作曲者、プロデューサー、リフメーカーなどとしての才能は素晴らしいものがあるということは今までこのブログに何度か書いたとおりなのですが、ギタリストとしての才能、テクニックは、今の時代でいえば素人レベルです。たぶんギターをきちんと練習していれば、初心者でも2年もあればペイジのレベルは軽く越えることができると思います。

 ネットでも「何が下手なのか」とか「どこが下手なのか」と理由を知りたがっている人が多いみたいですが、これはギターを練習したことがある人であればペイジがなぜ下手と言われるのかという理由はわかるのではないでしょうか。

 まず最初に基本的な技術の話として、フィンガリングとピッキングが全然合っていません。つまり左手の指で押さえたタイミングで右手に持ったピックで弦をきっちり弾くことができていないので音が綺麗に出ていないのです。

 これはクラシック、ジャズ、ロックにかかわらずギターを弾くための基礎中の基礎的技術としてマスターすべきものなのですが、ペイジはそれをきっちり練習していなかった、或いはやろうとしてもできなかったわけです。だから話にならないほど下手なギタリストなのです。

 おかげでペイジのギターソロなどをコピーしようとすると、音がちゃんと出てないせいで何を弾いているのかわからずコピーできないんですよね(笑)。エディやイングヴェイが上手すぎて、早すぎて何をやっているのかわからないのと違い、ペイジの場合は「何を弾きたかったのかわからない」レベルなのです(笑)。

 よく世の中にはペイジの完全コピーをしようとしている方々を見ますが、あれ、難しいですよ。だってペイジのようにフィンガリングとピッキングをあれだけ合わせないでギター弾くのって逆に超難しいですからね(笑)。10年くらいギターを全く弾かなかったらイイ感じにペイジのプレイを再現できるかも(笑)。

 エディも昔のインタビューで「ペイジは手袋をはめてギターを弾いているようなプレイ」とペイジの演奏を評しています。イングヴェイも「世界で最も過大評価されているギタリスト」とペイジのことを呼んでいるようですが、まあそういうことではないでしょうか。

 それともっと下手だと思うのは、ライブの映像などを見ていてペイジのリズム感が悪すぎること。これは初期の頃のライブビデオを見ていてもこういうシーンは沢山ありますのでもうこれは彼の生まれもってのミュージシャンとしての才能の無さを如実に語る部分でしょう。

 なのでツェッペリンのライブを見ているといろんなところでハラハラしまくり、「ここでこのリズム外す?」と思わず失笑する場面に何度も出くわします。ツェッペリンのライブではいつも心配しながら、そして「こう弾きたかったんだな」とペイジがずれた部分を聞き手が直してあげながら聞かなければなりません。

 こういった「へたうま」のプレイを「味」と表現するのは人それぞれです。でも本来音楽をはじめとする芸術において「味」というのは技術的に極めるレベルまで登った人がある意図をもって「ワザと」崩してできるものです。元々技術を持っていない人が上手に演奏できないものに「味」を感じるのは、それはちょっと違うように思います。

 例えばクラシックバイオリンの世界で「ヘタウマ」なんて存在しません。「下手」は「下手」で終わりです(笑)。下手で才能のないヤツはステージにすら立たせてもらえません。それが本来の音楽の姿、ミュージシャンの在るべき姿だと個人的には思っています。ロックだからペイジ程度の下手くそでもプロミュージシャンとしてステージで演奏ができてアルバムが売り出されたのだと思います。

 ただ「カッコいいか」「かっこ悪いか」というのはこれまた全然別の話です。ペイジがギターが下手だったからといってカッコ悪いギタリストだったのかといえば、これは私も違うと思います。昔のビデオを見ていれば特に初期の頃のペイジはカッコいいです。ファンのみんながペイジに熱狂するのがよくわかるカッコ良さです。

 ギターは確かにひどく下手ですが、ロックミュージシャン、エンターティナーとしてはすこぶる「カッコいい」です。だから今でも多くの人気を集めているのだと思いますし、全盛期にはそれこそ凄い人気を誇っていたのだと思います。ただ多くの人がペイジを語るとき、純粋にギタリストとして評価することと、ロックミュージシャン・エンターティナーとして評価することをごちゃ混ぜにしてしまっているのでワケがわかんなくなっているんだと思います。

 ですから私なりに結論を述べさせてもらえば、ペイジはギタリストとしてはメッチャ下手です、間違いなく。プロとしてはあるまじきレベルだと思います。たとえ時代が60年代後半から70年代にかけてだったということを思いっきり割引いてもありえないほど下手です。

 だって当時の有名ロックギタリストだったクラプトンやベックはとても綺麗にギターを弾いていますし他にもちゃんと基礎ができたギタリストはたくさんいたはずです。それにロックが世に出るまではジャズが全盛でしたから、当時すでにジャズの世界では相当なレベルでギターを弾ける人が掃いて捨てるほどいたはずです。クラシックは言うに及ばずです。だから「あの時代だからペイジがあの程度でも仕方ない」という擁護論は全然的外れだと思います。

 ただ作曲者、ショウマン、アイデアマン、プロデューサーとしては「超」をつけてよいほど一流です。だからこそあれだけ売れた音楽を世に出すことができたのです。だからペイジはギタリストとしてより、こっち方面の才能に溢れていた人だと評価してあげるほうが適切なんだろうと思います。

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